シフォンケーキの
アンチモールド・マイルドおよびネガモールドによる品質保持効果

概要

シフォンケーキは水分活性値が高いため、微生物により腐敗しやすく、日持ち期間の短い菓子の1つです。
シフォンケーキにおける当社の品質保持剤の効果を確認するため保存試験を行ったところ、脱酸素剤(ネガモールドZ)に比べて、アルコール蒸散剤(アンチモールド・マイルド)の方が腐敗しにくく、アルコール蒸散と脱酸素剤の両方の機能を有するネガモールドが最も日持ちする結果となりました。

今回使用した品質保持剤の特徴

「アンチモールド・マイルド」:アルコール蒸散剤

アルコール蒸散の機能を持ち、カビの静菌(カビの発生を抑える)の他に、食品のやわらかさやしっとり感を保ちます。

「ネガモールドG」:アルコール蒸散/脱酸素剤

アルコール蒸散と脱酸素の両方の機能を有しています。カビの他、酵母、枯草菌、乳酸菌に対しても静菌効果が認められます。
今回試験したネガモールドGは非鉄系ですが、鉄系のネガモールドも販売しております。

「ネガモールドZ」:脱酸素剤

包装袋内を脱酸素状態にすることでカビの静菌の他、酸素による変色、酸化などを抑制する効果があります。

表1.使用した品質保持剤の特徴(:効果が認められる、:効果が認められない)
品質
保持剤
エタ
ノール
蒸散剤
エタ
ノール
蒸散剤

脱酸素
対照A:
脱酸素
製品名 アンチ
モールド

マイルド
ネガ
モールド
G
ネガ
モールド
Z









食品の硬化
抑制
(やわらかさ、
しっとり感
保持)
変色、
酸化防止

試験内容

当社で作製したシフォンケーキを品質保持剤とともに包装したのち、25℃50%RHにて保管して経時的に品質を評価しました。

  • 試験サンプル
表2.試験サンプル
菓子 シフォンケーキ(約30g/個)




アンチモールド・マイルド10タイプ (以下、AM)
ネガモールドG 100タイプ (以下、NM-G)
対照A:脱酸素剤ネガモールドZS 100タイプ(以下、脱酸素剤)
対照B:無添付(品質保持剤を添付しない)



  1. ガスバリア袋に入れてから熱シール機で密封
  2. チャック付き袋に入れ保管
    ・商品名「ジップロック®お手軽パック」
    材質:ポリエチレン、厚み:0.04 mm
    サイズ:195mm×105mm×76mm
シフォン
品質保持剤の効果は、包装フィルム自体のガス透過性と、密封状態など包装の完全性に影響されます。
表3は、アルコール透過量と酸素ガス透過度を示します。
包装方法の①はアルコール透過量の低いガスバリア袋を使用し、熱シール機でシールするため、包装完全性に優れ、包装袋内のアルコールガスが維持されます。
NM-Gや脱酸素剤(ネガモールドZS)などの脱酸素機能を有する品質保持剤を使用するには、包装方法①のガスバリア袋に包装し、熱シールにより包装完全性を確保する必要があります。
包装方法②のチャック付き袋は、酸素ガス透過量が高く、フィルムを通じて包装袋外部より酸素が侵入するため、NM-Gおよび脱酸素剤の実験系は今回実施しておりません。
表3.使用した包装袋のガス透過度
包装袋
  1. ガス
    バリア袋
  1. チャック
    付き袋
アルコール
透過量
(g/m2・day(40℃))
3 96
酸素ガス
透過度
(g/m2・day・MPa)
50 >10,000
  • 評価項目および方法

保管条件:25℃50%RH

評価日程:シフォンケーキ作製当日、1日、3日、6日、14日

表4.評価項目および方法
試験項目 方法
外観観察 目視にてカビの有無を確認
やわらかさ
(機器試験)
クリープメーターRE2-33005B
(山電製)にて荷重を測定
水分
活性値(Aw)
水分活性測定器EZ-200
(当社製)にて測定
乾燥減量
(水分)
105℃2時間の乾燥前後の重量変化より算出
包装袋内

アルコール
ガス濃度
ガスクロマトグラフGC-9A
(島津製作所製)
AM、NM-G添付サンプルのみ測定
一般生
菌数、
真菌数
食品衛生検査指針に準拠

評価結果

  • 外観観察(カビの有無の確認)

菓子の外観を観察し、カビやネトの有無を確認しました。ネトとは増殖した細菌が異臭を有する粘液を生成した状態です。
①ガスバリア袋では、AMおよびNM-Gを添付した場合は、14日間カビやネトが発生しませんでしたが、対照A:脱酸素剤添付および対照B:無添付では6日目にネトが、対照B:無添付については14日目にカビが発生しました(表5)。
また、②チャック付き袋では、対照B:無添付では6日目、AM添付では8日目(データ未記載)にカビが確認されました。AMを添付するとアルコールの防カビ効果によりカビの発生が遅くなったと考えられます。また、AM添付および対照B:無添付ともに6日目にネトが発生しました。

表5.カビおよびネトが発生したマフィンの割合(n=7)と保管14日の外観写真



AM NM
-G
対照A:
脱酸素
対照B:
無添付


  1. ガスバリア袋









1
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
3
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
6
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
5
/
7
0
/
7
6
/
7
1
4
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
7
/
7
2
/
7
7
/
7
シフォンケーキとアンチモールド・マイルド(アルコール蒸散剤) シフォンケーキとネガモールドG(アルコール蒸散剤/脱酸素剤) シフォンケーキとネガモールドZ(脱酸素剤) シフォンケーキと無添付


AM NM
-G
対照
A:
脱酸
素剤
対照
B:
無添


  1. チャック付き袋



※包装袋が酸素を通しやすいため、脱酸素状態になりません。
今回の試験では除外。


1
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
3
0
/
7
0
/
7
0
/
7
0
/
7
6
0
/
7
3
/
7
2
/
7
5
/
7
1
4
2
/
7
5
/
7
7
/
7
7
/
7
シフォンケーキとアンチモールド・マイルド(アルコール蒸散剤) シフォンケーキと無添付
  • 一般生菌数、真菌数

食品中の一般生菌数と真菌数を測定しました。ネトを生成する細菌の数は一般生菌数に、カビは真菌数に反映されます。
①ガスバリア袋では、対照A:脱酸素剤添付および対照B:無添付は3日目に、AM添付は14日目に一般生菌数が増加しました。NM-G添付は、一般生菌数は検出されませんでした。真菌数については、いずれも増殖はみられませんでした。対照A:脱酸素剤添付および対照B:無添付に比べ、AM添付では数日間ですが品質保持効果を延長しました。NM-Gではアルコールと脱酸素の相乗作用により、長期間の静菌効果※が確認されました。
※2ヶ月まで保管を継続したシフォンケーキの生菌数を測定した結果、一般生菌数300個以下、真菌数100個以下であり、菌の増殖はみられませんでした。
②チャック付き袋でも、数日間ですがAM添付により対照B:無添付よりも一般生菌数および真菌数の増殖を遅らせました。

表6.一般生菌数(cfu/g)


AM NM-G 対照A
脱酸素剤
対照B
無添付
AM 対照B
無添付


  1. ガスバリア袋
  1. チャック付き袋
1
300
以下
(10個)
300
以下
(0個)
300
以下
(10個)
300
以下
(50個)
300
以下
(10個)
300
以下
(10個)
3
300
以下
(0個)
300
以下
(0個)
1.5
×
104
6.8
×
105
300
以下
(56個)
2.6
×
105
6
300
以下
(0個)
300
以下
(0個)
3.0
×
105
3.0
×
107
1.5
×
106
3.0
×
107
1
4
4.2
×
104
300
以下
(0個)
表7.真菌数(cfu/g)


AM NM-G 対照A
脱酸素剤
対照B
無添付
AM 対照B
無添付


  1. ガスバリア袋
  1. チャック付き袋
1
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
3
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
6
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(40個)
100
以下
(100個)
100
以下
(40個)
6.2
×
103
1
4
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
100
以下
(0個)
2.1
×
103
2.6
×
105
AM
ガスバリア袋
無添付
ガスバリア袋
NM-G
ガスバリア袋
AM
チャック付き袋
脱酸素剤
ガスバリア袋
無添付
チャック付き袋

図1.一般生菌数と真菌数

  • やわらかさ(機器試験)

テクスチャーメーターを用いて荷重を測定しました。荷重は「数値が小さいほどやわらかい」ことを示します。3日目にネトが観察された試験区(表内を塗りつぶした箇所)では、部分的に湿ってやわらかくなったため、正確な測定ができませんでした。
保管1日目はAMもしくはNM-Gを添付することで、他試験区に比べやわらかさを保っていました。3日目は①ガスバリア袋のAM添付品が、やわらかさを保っていました。

表8.やわらか(機器評価)
測定装置:RHEONER2 (山電製) プランジャー:φ40mm円柱


AM NM-G 対照A
脱酸素剤
対照B
無添付
AM 対照B
無添付

  1. ガスバリア袋
  1. チャック付き袋

1
0
.
2
7
0
.
2
9
0
.
5
5
0
.
3
4
0
.
3
5
0
.
4
8
3
0
.
2
5
0
.
4
4
0
.
4
8
0
.
5
2
0
.
6
2
0
.
6
8
※ ネトが観察された試験区
  • 水分活性値(Aw)および乾燥減量(水分)

試験サンプルの水分活性値(Aw)および乾燥減量(水分)の測定結果を図2、図3に示します。水分活性値は、シフォンケーキ作製当日0.90Awでしたが、その後、すべての試験区で0.94Aw付近へ上昇しました。その後は大幅な変動はみられていません。また、乾燥減量も大幅な変動はなく、包装形態の違いによる影響がみられませんでした。

AM
ガスバリア袋
無添付
ガスバリア袋
NM-G
ガスバリア袋
AM
チャック付き袋
脱酸素剤
ガスバリア袋
無添付
チャック付き袋

図2.水分活性値(Aw)の測定結果

図3.乾燥減量(水分)の測定結果

  • 包装内のアルコールガス濃度

AM、NM-Gを添付した以下の試験サンプルについて包装内のアルコール濃度を測定しました。①ガスバリア袋に密封するとアルコールガスを維持しやすく、②チャック付き袋で包装すると、1日目は0.65%でしたが、経時的に減少しました。

試験サンプル:
AM添付、①ガスバリア袋に密封
NM-G添付、①ガスバリア袋に密封
AM添付、②チャック付き袋にて包装

図4.包装内のアルコールガス濃度の測定結果

考察およびまとめ

シフォンケーキにおける品質保持剤および包装の種類が品質保持効果に与える影響について試験しました。
ガスバリア袋を使用した場合、無添付や脱酸素剤添付では、3日以内の早い段階で一般生菌数が増えてネトおよび異臭が発生しました。一方で、アンチモールド・マイルド添付では、6~10日の静菌効果がみられました。また、ネガモールドG添付では、試験期間を2ヶ月まで延長しても菌の増殖はみられませんでした。
チャック付き袋を使用した場合、無添付では3日以内の早い段階で一般生菌数が増え、ネトおよび異臭が発生しましたが、アンチモールド・マイルド添付品では、4、5日の静菌効果がみられました。
ネトを生成する細菌が増殖しやすいシフォンケーキでは、アルコール蒸散と脱酸素剤の両方の機能を有するネガモールドを添付し、ガスバリア袋(密封)を使用することが最適であると考えられます。

今回、評価したシフォンケーキは当社で作製しました。
レシピと作り方は、「富澤商店ホームページ 紅茶のシフォンケーキ」を参考にしました。

(作製時の物性…重量:約30g/個、水分活性:0.90 Aw、乾燥減量:15%)
包装の仕方、製造した季節、環境、保存温度などによって保管可能な期間は異なりますのでご注意ください。

よくあるご質問

ご使用について

  • A1.まったく感知できないほどではありませんが、適正量のご使用であれば気付かれる方は極わずかです。
    濃度が高い(食品の量が少ない)とアルコールの香り、舌にピリピリ感や苦味を感じることがありますが異常ではありません。
  • A2.食品30~50gに対し1包が適しています。
    ただし、食品の種類、包装の仕方、製造した季節、環境、保存温度などに影響されます。
    また、生鮮食品や水分の多い食品には適しません。


    アンチモールド・マイルドに対し、食品の量が多いと効果が弱くなるためカビが発生することがあります。反対に、食品の量が少ないと、アルコールの刺激、舌にピリピリ感や苦味を感じることがあります。
  • A3.対象食品の日持ち(アンチモールド・マイルド未使用)に対して、それを延長する効果があります。
    食品の種類、包装の仕方、製造した季節、環境、保存温度などに影響されます。

    実施例については、「簡易包装での実施例のご紹介」をご参照ください。
  • A4.直射日光および急激な温度変化を避け、冷所に保管してください。
    アルコールを含んでいますので、火気にご注意ください。
  • A5.問題ございません。
  • A6.添付資料に記載されておりますので、ご確認ください。
    また、5包入り透明袋を開封した場合、1時間以内に使用してください。
    一度使用したアンチモールド・マイルドは再使用できません。
  • A7.地方自治体の分別方法に応じて処分してください。
    アンチモールド・マイルドの内容物は不燃物ですので、「燃やせないごみ」として扱われる場合が多くなります。
  • A8.アンチモールド・マイルドが水に濡れた場合は、効果が弱くなるため、使用しないでください。
    冷凍しても変化はありません。
  • A9.アンチモールド・マイルドは電子レンジで温められると、小袋が破裂し、中身が漏れ出すことがあります。
    必ずアンチモールド・マイルドを取り除いてから温めてください。
  • 下記の「Contact Us」よりお問い合わせください。
    フリーダイヤルは、小袋の表面にも印刷しております。

添付した食品について

  • A1.食品にも利用される安全な素材を使用しておりますのでどうぞご安心ください。
  • A2.食品にも利用される安全な素材を使用しておりますのでどうぞご安心ください。
  • A3.アルコールの量は少ないため、問題ございません。
  • A4.人体への影響はありません。
    内容粉のシリカゲルは体内に吸収されたり、反応することなく排出されますので特別な処置は必要ありません。
    製品の表面印刷に「たべられません」の明記がありますが、これは食べ物ではないという意味で記載しています。

アンチモールドについて

  • A1.アンチ(抗・対抗する)、モールド(カビ)、つまりカビの生育を抑えるという意味です。
  • A2.1978年に発売されました。
    最初は食品にアルコールを少量塗布する原始的な実験から始まりましたが、やがてアルコールを一旦蒸気にして食品まで運ぶことが効果的なことに気づきました。
    そこで、アルコールを綿や澱粉等にしみ込ませる、固形燃料のように固形化する…などの実験を行い、最終的に現在の形が採用されました。
  • A3.半生の洋菓子、和菓子、中華麺、うどん、パン、珍味類などが主な対象商品です。
    その他に豆や黒砂糖など様々な食品に使用されています。
    ただし、生和洋菓子、ゆで麺など水分活性値の高いものは、カビの発生に加え、その他一般細菌類が問題となる場合があり、アンチモールドには不向きです。