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フロイントグループ創業からの知識の海

【自働化!】錠剤コーティングPATシステム TACT 機械 2022.07.29

国内の少子高齢化や人手不足、働き方改革への対応などの厳しい事業環境を乗り越えるため、生産性の高い設備へと一新させ、労働生産性の飛躍的な向上を図る必要がある。

製薬工場での人手不足の解消、働き方改革を進めていくには、「生産性を向上する」、「製造を外注する」などの対策活動が主になる。他産業に比べて、製薬工場の生産性の向上が進まないのは、人々の命をあずかる特別な産業であり、それ故の高いハードルとなる制約条件があるためだ。GMP省令を遵守し、製造承認いただいた届出書の記載内容を逸脱しない範囲で改善、改良を進める。また、変更する場合は、相当の労力、時間、コストの負担を覚悟のうえで実施する。

そのような中、近年、自働化・無人化、生産効率の向上、安全性の向上などを追及するために、設備単体の自働化やPATの導入などDX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)が進んできている。特に固形製剤では、自働化で人為的ミスを防ぐ役割を果たし、品質向上に繋げる活動が急務である。

フロイント産業株式会社
技術開発研究所 機械開発課 

錠剤コーティング設備の60年にわたる変遷は、1960年代に使われていた傾斜型パンに始まる。
傾斜型パンの特徴は、パンの回転軸を水平から約30°傾斜させることにより、転動する粒子が分級される点である。すなわち、大きな粒子はパン手前側に、小さな粒子はパン奥側に集まる傾向があり、チョコレートや糖などでコーティングする際、液をパン奥側に供給することで、粒子径の平均化ができる。この作用は、原料粒子径が不揃いな果実や穀物をコーティングするのに役立つ。反面、粒子径が均質な錠剤コーティングでは、撹拌混合性能が不足し、色むらや重量バラつきの原因になる。また、乾燥空気の導入も制限を受けるため、乾燥能力を必要とするフィルムコーティングの出現とともに、1970年代には水平パン(水平軸を中心に回転するパン)が主流になった。

水平パンでは、パンの外周部にパンチングなどの多孔板が採用され、乾燥空気の導入が容易になった。
欧米では、*より乾燥能力の高い全周パンチングパンが普及したが、国内では部分パンチングパン(パン周囲を部分的にパンチングにして、その周囲をジャケットと呼ばれる空気経路にしたパン)が主流になった。これは、欧米ではフィルムコーティング専用機として使用されるのに対し、国内では糖衣とフィルムの兼用機として使用されることが多いためである。糖衣コーティングに全周パンチングパンを採用すると、錠剤より先にパンが温まり、そこに糖衣液が付着して、不良錠(ボッチや突起のある錠剤)が発生する。(糖衣液には温かいところに付着するという性質がある)。いずれにしても、1970年代以降は水平パンが主流になり今日に至っている。

*当時は乾燥能力が低く、エネルギー効率の悪い全周パンチングであった。
それに比べて、当時のジャケット式パンはエネルギー効率に優れ、主流であった有機溶剤を用いたコーティング液の利用に対し、構造的に強度の高い装置であったため、爆発の危険リスクに対しても注目された。トラップドアの排出機構も注目された。

なお、全周パンチングパンを使った糖衣コーティング技術が確立され、2008年に国内でHC-FZが販売開始され、全周パンチングパンでも不良錠を発生させずに糖衣コーティングを可能としている。近年では、NIRを利用した終点管理なども検討されているが、他工程に比較し制御項目も多いことや、実運用を考えた場合に、高いハードルがある。

当社が販売する錠剤コーティングPATシステム TACT(Tablet Auto Coating Tool)は、実運用に適した終点管理・終点予測システムです。
現在、多くのお客様では、錠剤コーティングにおける製造終点を決定する方法として、「コーティング錠の重量」を確認して工程管理していただいております。従来、この品質管理の作業は、錠剤を採取し、その錠剤の重量を測り、予定錠剤重量に到達しているか確認する作業を人手で実施していただいておりました。そのため、この終点管理作業が、夜間となった場合でも作業者が必要でした。
錠剤コーティングPATシステム TACTは、錠剤取得・錠剤数量および重量測定・終点管理および予測まで自動化することが可能です。
これにより「品質向上」「自働化・作業効率向上」「安全性向上」「ヒューマンエラー防止」に繋がります。夜間無人化などにも期待されております。

錠剤コーティングPATシステム TACTは、新型錠剤コーティング装置HC-HVおよびHC-FZに適応しており(オプション)、新規に錠剤コーティング設備をご導入いただく際はもちろん、現在ご利用中の錠剤コーティング装置HC-FZに後から取り付けが可能です。

その際は、大規模工事の必要なく取り付け可能な、新しい錠剤取得のサンプリング機構を用意しており、錠剤の数量・重量測定には、可搬式のコンパクトな装置を用意しています。

①品質安定・向上:1錠当たりのコーティング量を正確管理します

②自働化・作業効率向上:予熱工程~乾燥工程まで錠剤コーティングを自働で管理します

③安全性向上:サンプリングに関わる人の作業が無くなり、不安全作業がなくなります

④ヒューマンエラー防止:錠剤数量間違いがなく重量測定を正しく実施します

本記事では、自働化の目的と錠剤コーティング装置の変遷、当社が販売する自働化設備 錠剤コーティングPATシステム TACTについて概説しました。

固形製剤では、ヒューマンエラーの防止や人手不足の解消を目的とし、自働化実現の方法を様々な工程で検討されております。
そのような課題克服のために、錠剤コーティング工程では、錠剤コーティングPATシステム TACTにより、自働化と人為的ミスを防ぐ役割を果たし、品質向上に繋げる活動に貢献できると考えております。

システムの詳しい紹介や実機による検証ならびに貸出機もございますので、下記お問合せフォームや担当営業までお気軽にご連絡ください。

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