【開発者インタビュー】新型錠剤コーティング装置 HICOATER® HV 機械 2021.09.30

丸山：それでは武内さん、よろしくお願いします。
武内：よろしくお願いします。

丸山：まずは、HICOATER® HV(以下HC-HV)の開発、お疲れ様でした。無事にここまで来られて、ほっと一息つけたのではないかと思います。HC-HVの魅力を読者の皆さまにお伝えすべく、いろいろなお話を聞かせてくださいね。最初に、簡単に武内さんのご経歴を教えてください。

武内：はい。名前には2つの意味を込めています。"ハイファイブ"は英語でハイタッチの意味を持ちます。我々にとってのお客様である製薬会社様や食品会社様、その先の生活者様、様々な協力会社様、そして我々フロイント産業。この装置に関わる全員が揃って"Hi-Five!!（ハイタッチ）"できるような装置にしたいという想いを込めています。２つ目は企業としても製剤装置としても、更なる高みを目指す姿勢として、HV(ハイファイブ)と命名しました。

丸山：全員がハイファイブ! HC-HVにはそんな素敵な想いが込められていたのですね。
では、どんな事がきっかけでHC-HVの開発がスタートしたのでしょうか?

武内：この装置は「高性能かつ自働化を実現したユーザーフレンドリーなコーティング装置」をコンセプトとして開発しました。
　コーティングパンは、十分な撹拌混合性能を持つ全周パンチング仕様の多角形状とし、 パン内の流れを乱さない給気方式を採用したことで、速やかなコーティングの均質化とともにコーティング時間を40％短縮できます。また30％の節水も実現しています。
　ユーザーフレンドリーという面では、給排気チャンバの着脱、スプレーガンの位置調節、あるいはバッフル交換といった作業者の方が頻繁に行う作業の負荷を大幅に低減する機構を採用しています。
　更にコーティング中の錠剤を自動でサンプリングし、自動で重量測定を行うことで終点を制御できる機構も有しています。フィルムコーティングと糖衣コーティングの両方に対応した装置です。

丸山：なるほど。コーティング装置としての性能が高いだけでなく、ユーザビリティも良くなり、自働化・省力化にも貢献できる装置なのですね。
では、開発者として特にこだわった点はどこでしょうか?

武内：構造の一部分を変えることで、良くも悪くも大きく性能に影響することがあります。パンの形状、バッフルの形状や配列など、それぞれ最適と考えられる構造にしても、それらを組み上げてみると思わぬ不具合が発生することがあります。そのため、様々な影響を考慮しながら構造を変更し、その都度性能検証する必要があり、何度もトライアンドエラーを繰り返しました。失敗する度にプロジェクトメンバーで協議を重ね、解決策を模索しました。

丸山：生活者様の安全・安心を支える機械だからこそ、非常に高度な技術力が求められるでしょうし、プロジェクトメンバー皆さんのご苦労が偲ばれますね。
開発の途中でくじけそうになる時もあったと思いますが、最後まで開発をやり遂げた原動力はなんですか?

武内：開発者として大切にしている「今までになかった物を創る」という想いを忘れないように開発に取り組みました。今まで世に無かったHC-HVというソリューションが、製薬会社様・食品会社様、その先の生活者様の未来に貢献する事を考えれば、多少のハードルなんて少しも気になりませんでしたよ!