TACT ─ 錠剤コーティング工程の“見える化・自働化”を実現するしくみと導入効果 機械 2025.06.30

近年、製薬業界ではより一層の品質向上、生産効率の追求、オペレーションにおけるリスク低減が求められています。その中で錠剤コーティング工程は、製品の品質、安定性、服用感に直接影響を与える重要なプロセスであり、厳格な工程管理が求められます。
錠剤コーティング工程の終点を決定する方法として、多くのお客様がコーティング錠の重量で管理されています。
従来は、次の1~4による工程進捗管理と終点判断、という一連の作業が手作業で行われてきました。
- コーティング中の錠剤のサンプリング
- 錠剤数量計測
- 錠剤重量測定
- 目標錠剤重量とサンプリング錠剤重量との比較
その中で下記のような課題が顕在化しています。
- サンプリングの度に作業者が対応するため負担が大きい
- ヒューマンエラーのリスクを伴う
これらの課題を解決するため、錠剤コーティングPATシステムTACT(Tablet Auto Coating Tool)を開発し、ご好評をいただいております。
本システムは弊社の錠剤コーティング装置HICOATER HVおよびHICOATER FZに適応できます。
ここからは「TACT」の構成について、HICOATER HVを例に説明いたします。
TACTはコーティング装置における次の3つの機能を統合し、終点管理を効率的に実施するシステムです。
- 自動サンプリング
- 錠剤重量測定
- 終点予測プログラム
HICOATER HVのコーティングパンには、以下に示す自動サンプリング機構を搭載できます。
- パン内で錠剤をすくい取るサンプリングガイド
- シリンダで開閉可能なサンプリング用のポート

サンプリングの際、錠剤はサンプリングガイドを滑りながらポートへ移動し、パンの外部にあるサンプリングシュートを通って機外へと排出されます。
コーティング装置から排出された錠剤は、錠剤重量測定機「WT-1」のステータと呼ばれる部分に搬送され貯留します。ステーターに留められた錠剤は1錠づつ入る穴が複数空いているディスクに受け渡されます。このディスクが回転して錠剤が運ばれ、レーザーセンサーにより1錠ずつカウントし、予め設定した錠数の重量を測定します。

測定した錠剤重量データから管理指標値との差を求め、追加で必要なスプレー量の有無確認、および必要であれば追加のスプレー時間を算出します。稼働中のプログラムにその結果を反映し、必要量のスプレーを行い、工程を終了させます。

自動でコーティング終点を予測することで、人手を介さない運転を実現
いくつかのモデルケースを示す。
本記事では錠剤コーティングPATシステム TACTについてご紹介しました。
TACTにより期待される効果は下記の通りです。
- サンプリングから終点管理の自働化により、作業者の負担を大幅に軽減する
- ヒューマンエラーのリスクを最小限に抑え、安定した高品質なコーティングを実現
- 各サンプリング時の重量データを記録として残せる
新規に錠剤コーティング設備をご導入いただく際はもちろん、現在ご利用中の錠剤コーティング装置HICOATER FZに後から取り付けも可能です。
HICOATER FZでの機器構成は、リーフレットからご確認いただけます。ダウンロードいただき、ご利用ください。
また、浜松にある技術開発研究所にてHICOATER HV、HICOATER FZ両装置でのテストも可能です。下記問い合わせフォームや担当営業までお気軽にご連絡ください。
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